秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
伊吹さんがそのまま顔を近づけてくるから思わず目を閉じると「失礼します」という紳の声が聞こえて、足音が遠ざかっていった。
「キスは帰ってからだ」
「えっ?」
伊吹さんの言葉にハッとして目を開けると、やっと顎から手を離してくれた。
「まぁ、いいか。誰もいないし、今、するか?」
「し、しません」
この人の唇があと数センチに迫っていたのだと思うと、恥ずかしくて顔をあげられない。
「戻るぞ。これ、常務の大切なものだったんだろ?」
「はい。お嬢さんからのプレゼントで……」
「お前が渡せ」
彼は私の手を取りカフリンクスを握らせると、歩き始めた。
「あの、すみません。せっかくスーツを買っていただいたのに……」
結局、すべて彼に助けられた。