秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
「いや。スーツなんて必要なかったな。今のお前は輝いてるよ」
一瞬私に優しい眼差しを向けた彼は、身を翻してスタスタと歩いていく。
「広瀬。時間を無駄にするな。早くしろ」
「は、はい」
すぐに上司の顔に戻った彼は、相変わらず厳しい言葉を私に向ける。
だけど、少しも怖くなんてなかった。
本当はとびきり温かい人だから。
「失礼します」
取締役室に戻ると、聡さんと常務が話を弾ませていた。
不動産部門はわからないなんて言っていた聡さんは、今日のために私が用意した資料を読み込み勉強したからか、具体的な数字の話までしていて驚いた。
本当に勉強家だ。
「あぁ、もう長くお引止めしてしまって。次の予定もおありでしょう?」
常務が聡さんに声をかけると、「とても有意義でした。是非またお邪魔させて下さい」と首を垂れる。