秘書室室長がグイグイ迫ってきます!

無事に面会が終わり玄関へと歩いていると、向かいから歩いてくる奈津の姿を見つけて、胸がドクンドクンと大きく打ち始める。

でも私は、真っ直ぐ前を向き顔をあげて堂々と歩いた。
そして、もう少しですれ違うと思ったとき……。


「悠里」


奈津が私を呼んだ。
するとそれに気がついた伊吹さんが、足を止めチラッと視線を送る。


「私は今の仕事が好きです。前だけを見て、進んでいます」


仕事中なのにこんなことを言うべきではなかったかもしれない。
でも、どうしても一言だけ奈津に伝えたかった。

いや、こんなに清々しい気持ちで彼女にそう言えたのは、伊吹さんが今の私を見ていてくれるからだ。
もう過去を引きずってクヨクヨしたくない。


「そう。ごめんなさい」
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