秘書室室長がグイグイ迫ってきます!

後部座席の聡さんの隣に座る伊吹さんは、顔色ひとつ変えず「これからのスケジュールですが」と手帳を開く。


「あはは。はいはい。仕事します」


淡々と仕事を勧める伊吹さんに聡さんも苦笑するけど、おそらく伊吹さんのすごさを一番知っているのも聡さんだ。
ふたりはとてもよい関係のように見えた。


その日はいつもより少し早めに帰宅できた。

すると、家についた瞬間スマホが震えて驚いた。


『飯食わずに待ってろ』

「は? あの……」


それだけの会話の後、ツーツーツーと続く発信音。


「この電話、秘書失格よ」


電話の相手は伊吹さんだった。


『待ってろ』ということは、来るということ?
でも、今日のお礼もきちんと言えていないから、丁度よかった。

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