秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
電車のダイヤは乱れに乱れ、タクシーも捕まらない。
でも、社長が出かけるはずの十一時までには到着しなければと、仕方なく乗りかえのある次の駅まで、ひと駅歩く。
もうブーツにかけた防水スプレーなんて少しも機能しておらず、歩くたびにジワッと足を濡らす雪のことなんて、気にしていられなくなった。
それでも十時半になんとか会社にたどり着いた。
「遅くなりました」
強い風のせいで、傘はまったく役立たず。
秘書室に入ったときは、全身びしょ濡れだった。
そんな私を見て、一瞬目を見開いた高畑さんは、「お疲れ」と声を掛けてくれる。
「広瀬(ひろせ)、手に入ったか?」
「すみま、せん……」
私がそう言うと、彼は顔をしかめる。
「いちご、大福です……」
「いちご大福?」
消えそうな声でそう言うと、彼は怪訝な声を上げ、鋭い目で私をひと刺し。