秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
目を泳がせながら首を振ると、彼は私の耳元に口を寄せる。
「もう、観念しろよ」
彼の低い声が耳をくすぐり、ゾクゾクする。
「ち、ちょっと待って!」
危ない。彼の色気に押し切られるところだった。
慌てて飛び起きると「チッ」と不機嫌全開の伊吹さんは、離れてくれた。
だけど私は、呼吸まで速まってしまい、うまく話すことさえできない。
この肉食オオカミ、危険すぎる……。
「大事にしてやる」
「そ、そうですけど……」
彼の本気は十分に伝わってきている。
でも、この展開の早さに私はついていけない。
そんなに器用じゃない。
というか、『ノー』という返事の効力は、どこに行ったの?
「仕方ない。お前の気持ちが追いつくまでは待ってやる」
「すみません」
仕事のときのように謝ると、彼は「プッ」と吹き出した。