秘書室室長がグイグイ迫ってきます!

『承知しました』なんて偉そうなことを言ったけれど、まだ新米の私には、たいしてできることなどない。


「それと、着替えは置いてあるのか?」

「はい」

「早く着替えて来い」

「ありがとうございます」


私たち秘書は、高畑さんに言われて、スーツ一式を会社に置いてある。

それは、来客の際、決して汚れた服装で出てはいけないという配慮から。

もしかしたら、コーヒーをこぼすかもしれない。
通勤途中で、今日のように濡れてしまうかもしれない。

という事態を想定したもので、そこまで徹底する彼には驚いた。

だけど、実際こうやって役立っているのだから脱帽だ。


更衣室に駆け込み、スーツを着替えたものの、体は冷えたまま温まらない。
それに、濡れた髪もどうにもならなかった。

仕方なく、髪をひとつで束ねて秘書室に戻った。
すると……。
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