秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
「そうですか」
だけど伊吹さんは声色を変えることなく、返事をした。
やがて会議室のある十階に到着し、"開"のボタンを押していると聡さんが降りて、次に伊吹さんも。
ここから先は伊吹さんがサポートする。
「広瀬、次の指示はデスクのメモだ」
「わかりました」
一瞬だけ私と視線を合わせた伊吹さんは、そのまま聡さんのうしろをついていった。
秘書室に戻ると、ふっと気が抜けてしまった。
聡さんが優秀な人だから、私は助かった。
あそこで機転を利かせてくれなければ、会議にも間に合わなかったかもしれない。
自分の力のなさを思い知る。
努力なしでふたりの域に到達できるとは思っていない。
でも、いつかそうなれるという未来を思い描くことができないほど、ふたりとの差は歴然としていた。