秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
でも、伊吹さんは『自分のできる限りの努力をするお前に、惹かれた』と言ってくれた。
とにかくガムシャラに前に進むしかない。
「よし」
へこんでばかりいても仕方がない。
デスクの上に置かれたメモを見て、次の仕事を始めた。
「お疲れさまでした」
伊吹さんがすべての仕事を終え秘書室に戻ってきたのは、二十時半を過ぎていた。
他の秘書はもう全員帰っていない。
「お疲れ。もう帰ってもいいぞ」
「いえ。お手伝いします」
彼は今日、少しも雑用をする時間はなかっただろう。
おそらく明日以降の仕事の準備が残っているはずだ。
返事をすることなく自分の椅子に座った彼は「フー」と大きく息を吐きだした。
珍しく疲れた様子だ。
私は席を立ち、コーヒーを淹れた。
とびきり濃いブラックのコーヒーは、伊吹さんの好みに合わせた。