秘書室室長がグイグイ迫ってきます!

「逃した魚が大きすぎて、惜しくなったんだな」


紳のことだ。


「そんなことはないと思います」


宮城不動産にいたころからなにひとつ変わっていないはずだから。


「そう思ってるのは自分だけだぞ? 仕事もどんどん吸収して成長しているし、聡さんまで最近きれいになったと言ってる」

「えっ!」


聡さんがそんなことを?


「まぁ、俺がきれいにしたんだけどな」


人は恋をするときれいになると言うけれど、その効果?
でも、自信満々の彼がおかしい。


「ほら、青梗菜も食え」

「これは伊吹さんのです」


結局野菜を押し付けようとしている彼は、意外と子供っぽいところもあるようだ。


「わかったよ。でもお前は俺のものだ」


彼が平然とした顔でそんなことを口にするから、一瞬、箸が止まってしまった。
でも紳には渡さないと宣言してくれた気がして、うれしかった。
< 216 / 370 >

この作品をシェア

pagetop