秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
「それなら丁度いい」
彼は私の手を引き店内に入っていくけれど、こんなにすごい店でなくたって……と庶民の私は恐縮してしまう。
「高畑様、お待ちしておりました」
店内に入ると、すぐに黒いベストを着たウエイターがやってきた。
おそらく彼は何度も訪れているに違いない。
名乗らなくても名前を呼ばれている。
「こちらへ」
ウエイターは一番奥のドアを開け、なんと私たちを個室に誘導する。
仕事以外ではこうした経験もなくドギマギしながらも、スッとひかれた椅子に平然とした顔を作って座った。
伊吹さんに恥をかかせてはいけない。
私とは違い彼は堂々としたもので、ゆったりと席に着きメニューを受け取った。
「悠里、コースでいい?」
「は、はい」
「それではコースと、彼女にこのシャンパンを」
伊吹さんは車だから飲めないんだ。
「いえ、私もいりません」
「いいから、気にするな」