秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
目を合わせることなく挨拶をすると、彼はいつもの調子で返してくれた。
でも、どいてくれない。
「広瀬」
「はい」
「顔をあげろ」
ずっと彼の足もとを見ていたのに、そう指摘され、視線を上げないわけにいかなくなった。
恐る恐る彼の顔を見ると、彼が珍しく血走った目をしていてハッとする。
「デスクに置いてあった資料、補足がほしい。リストをあげておいたから午前中にそろえてくれ」
「わかり、ました」
上司の彼は、いつも通り私に指示を出す。
でもその目が少し悲しげに見えるのは気のせいだろうか。
「それと、社長と聡さんにコーヒーを」
「はい」
彼に頭を下げ、すぐにコーヒーを淹れるために給湯室に向かった。
「はー」
大きな溜息が出てしまう。
こんな調子で大丈夫だろうか。