秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
会議室に一歩足を踏み入れると、意を決して口を開いた。
「とりあえず、座れ」
「はい」
一番手前の椅子に座ると、彼は九十度の位置に座った。
「俺はこのまま出なくてはならない」
「はい」
「でも、大切な女が所在不明で、気が狂いそうだ」
彼の発言を聞き、一瞬息ができなくなる。
私のことをまだ『大切な女』と言ってくれるの?
ううん、違う。
私は大切な女のひとりにすぎない。
私はそうやって自分の気持ちにブレーキをかける。
うつむいてなにも言えないでいると、彼は再び口を開いた。
「今日は、帰るか?」
怒っていると思った彼の声は優しく、彼への気持ちが溢れ出てしまいそうになる。
それでもグッとこらえて首を振ると、彼は大きな溜息をついた。