秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
「梶のことを気にしているんだろうが、今ここで話すことではない。せめて、どこにいるのかだけ教えてくれ」
私を真っ直ぐに見つめる彼の目は、真剣そのものだった。
それでも私は言えずに、小さく首を振る。
だけど彼はあきらめない。
「頼む」
苦々しい顔をして、私に頼みごとをする彼なんて記憶にない。
胸が張り裂けそうに痛い。
「第一プラザホテル」
根負けするように、私はホテルの名前を口にした。
いや、根負けしたのではない。
きっとまだ彼とつながっていたかったんだ。
「わかった。今日はもう帰れ。顔色が悪い」
最後まで私の心配をする彼は、すぐに接待へと向かった。
今日は珍しく聡さんも早めの帰宅。
担当役員がふたりともいなくなった私も、帰ることにした。
といっても、帰る場所は寂しいビジネスホテルだ。