秘書室室長がグイグイ迫ってきます!

「誕生日、だったのにな……」


明日は私の誕生日。
ひと足早く祝ってくれた彼とやっと結ばれたばかりなのに、まさか彼の家を出ることになるなんて、思ってもいなかった。

彼にもらったダイヤのネックレスは、今日はつける勇気がなくてバッグに大切にしまってある。

あの時『毎年、俺に祝わせてほしい』と言われて、どれだけうれしかったか……。
そんなことを思い出すと、どうしても涙がこぼれてしまう。


「伊吹、さん……」


彼の名前を口にすると、余計に辛さが増してくる。
今度こそ、幸せになれると思ったのに……。

そんなことを考えていると、昨日寝ていないせいか、まぶたが降りてきた。


――トントン。


ドアがノックされているのに気づきハッと時計を見ると、午前0時を回っている。

誰?と一瞬思ったけれど……。
< 300 / 370 >

この作品をシェア

pagetop