秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
「伊吹、さん?」
私がここにいると知っているのは彼しかいない。
戸惑いながらもドアを開けたのは、きっと彼に会いたくてたまらなかったから。
ドアをほんの少し開けると、やっぱり彼がいた。
手に持ちきれないほどの真っ赤なバラを抱えた、彼が。
「悠里……」
「伊吹、さん……」
「誕生日、おめでとう」
彼がそのバラを私に差し出したとき、もう今日が誕生日なことに気がついた。
もしかして、今日の夜はまた接待で遅くなるから、今?
唖然としながらバラを受け取ると、鼻の奥がツーンとしてきた。
「入っても、いいか?」
私はコクンとうなずいてしまった。
狭いシングルの部屋は大きな彼が来ると、少し息苦しい。
いや、息苦しいのは、大好きな人が目の前にいるからだ。