秘書室室長がグイグイ迫ってきます!

「最初におめでとうが言いたかった。本当は家で言いたかったけどな」


彼は珍しく苦しげな顔を私に向ける。


「ごめんな、さい……」


うつむいてそう言うことしかできない。
すると彼は私の腕を引き、ベッドに座らせた。


「顔色が悪い」


伊吹さんだって……。


「こんなに一日が長く感じたのは、生まれて初めてだ」


彼は膝をつき、花束をギュッと握る私の視線まで下りてくる。


「梶とは昔付き合っていた。仕事で知り合い、そういう関係になった。といっても、付き合っていたのは三ヶ月だけ」


彼の視線を感じるのに、顔をあげられない。


「もちろん、真剣に付き合っていたつもりだ。だけど、価値観があまりに合わなくて、すぐに別れた」

「今、は?」


震える声でそう尋ねると、彼は私の手を握る。
< 302 / 370 >

この作品をシェア

pagetop