秘書室室長がグイグイ迫ってきます!

でも……。


「梶さんが……今度抱いてって言ってました」

「アイツに会ったのか?」


私がうなずくと、彼は「はー」と溜息をついて天井を見上げた。


「ごめん。アイツが悠里をそんなふうに傷つけたなんて、少しも知らなかった。出ていかれても、仕方ないな……」


彼は顔をしかめて唇を噛みしめる。


「でも俺は、悠里のことが好きなんだ。こんなに俺の心をかき乱すのはお前だけだ」


彼は必死に訴えてくるけど、信じるのが怖い。


「伊吹さんが好きなのは、梶さんみたいに大人な女性なんでしょ? 私なんて、どこに魅力があるのかわからない」


それが本音だった。
あんなに色気のある女(ひと)と付き合っていた人が、私みたいな子供を相手にするなんて、おかしい。
< 304 / 370 >

この作品をシェア

pagetop