秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
ホテルから二十分ほどのマンションの前で彼は車を停めた。
そして……。
「ここだ。アイツと別れてからここに来たのは初めてだ。神に誓うよ」
伊吹さんはそんないい加減な人じゃないと、本当はわかっている。
でも、怖かった。
大切な人だからこそ、もし裏切られたら……と臆病になってしまう。
伊吹さんは車を降りた私のところにやってきて、強く手を握る。
そしてキリリとした顔をして、マンションの中に入っていく。
エントランスでチャイムを鳴らしたけれど、梶さんは反応しない。
もう午前一時を回っている。
眠っているに違いない。
「伊吹さん、もう……」
彼の気持ちは十分すぎるほど伝わった。
だから、もう……。
「いや、俺の気持ちが収まらない。悠里がどれだけ苦しんだのか、ちゃんと梶にもわかってもらう」