秘書室室長がグイグイ迫ってきます!

そう言った彼はスマホを取り出し、電話をかけはじめた。
しばらく出ないようだったけど……。


「もしもし、高畑だ。今すぐ玄関を開けろ」


秘書のくせに、実に乱暴な言い方だ。
でも、彼の怒りが伝わってくる。


「なんでじゃない。今、下にいる」


彼がそう言うと、オートロックのドアの鍵が解除された。


「悠里。行くぞ」

「あの、私が行ったら……」


なんだかややこしくなってしまいそうだけど……。


「悠里がいないと意味がないんだ」


彼は真剣なまなざしで私を見つめる。


「……はい」


彼の真剣さはきちんと伝わってくる。
だから私は、彼に手を引かれて続いた。

五階のとある部屋の前で足を止めた伊吹さんは、ためらいもせずチャイムを押す。
するとすぐにドアが開いた。
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