秘書室室長がグイグイ迫ってきます!

「あっ、朝食まで……」

「そんなことはいい。早く食って出かけるぞ?」

「出かける?」


悠里は少し首を傾げて不思議そうな顔をする。
そのかわいい顔は危険だ。
襲うぞ!

ダメだ。
今週は彼女がヘトヘトなのを見て禁欲したせいで、悠里のちょっとした仕草にも反応してしまう。

とはいえ、なんでもない顔をして「温泉宿をとったんだ」と告げると、彼女の表情が一瞬にして明るくなった。


「ホントに?」

「あぁ、ホントだ」


悠里は目を真ん丸に見開いて、俺の腕の中にダイブしてくる。
本当に素直でかわいい女だ。


「伊吹さんと旅行できるなんて……」


そういえば忙しさを言い訳にあまり遠出したことはない。
でもこれからもっともっと思い出を作るぞ。
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