秘書室室長がグイグイ迫ってきます!

出迎えてくれた仲居に荷物を渡して手続きを済ませていると、その間悠里は好きな柄を選べるという浴衣に夢中で、目を輝かせている。


「伊吹さん、どっちがいいですか?」


淡いピンク地に大きな牡丹が描かれた浴衣と、紺地に水色の朝顔の描かれた二枚を俺に見せた彼女は決めかねているようだ。


「そうだな、こっちだ」


どっちも似合いそうだったけれど、ピンクの方にしておいた。
会社では紺や黒のスーツが多いからだ。

俺も浴衣を選び、早速部屋に向かった。


「広ーい」


プーンとヒノキの香りのする部屋は聡さんが使うだけのことはあり、とても立派だった。


「十八時くらいに夕食をお持ちします。それまでごゆるりとおくつろぎください」


お茶を入れてくれた仲居が行ってしまうと、早速窓の外を眺めている悠里に近づき、腰を抱く。
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