秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
えっ……。
これは"脅し"と言うものですか?
「そういうわけでは……」
「それなら、呼べ」
でも、あの高畑さんを下の名前で呼ぶなんて、恐れ多い。
「いや、あの……」
「それ。そういう困った顔をしている悠里が、たまらない」
彼が少しうっとりした目で私を見つめ、顎に手を掛けるので、顔がみるみる真っ赤に染まる。
「早く言わないと、キスするぞ」
「えっ……そんな……」
これは完全に脅迫です!
すこぶる真剣な顔をした彼は、私の耳元に口を寄せる。
「ほら」
なに、この色気。
体がブルッと震える。
「い、伊吹、さん……」
やっとのことでそう言うと、彼は満足そうにうなずき、やっと手を離してくれた。
「ほら、食うぞ」
彼は平然と私を促すけれど、一瞬息を吸うことも忘れていた私は、一度大きく深呼吸した。