秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
「今でも、どうしてかわからないんです。奈津は同期入社の親友で、元彼もそうでした。奈津はもちろん私と彼が付き合っていたのを知っていたし、祝福もしてくれていました。それなのにあの日――」
あの日は、散りかけの桜の花びらが会社の窓から見える川面をピンクに染めていて、美しかったことだけは覚えている。
「『昨日あなたの彼に抱かれたの。私の方が彼を愛している』と奈津は私に言い放ちました」
私がそこまで言うと、高畑さんは私の頭を抱えてさらに強く抱き寄せる。
「私はなんの冗談かと思い、最初は笑っていましたけど、奈津は『もう返さない』と宣言しました」
あのときの彼女の思いつめた目は、今でも容易に思い出すことができる。