秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
こんなに切ない純愛ものだと思っていなかったから、不意を突かれた気分だった。
「泣き虫だな」
「だって……」
「そんな悠里も好きだけどな」
彼は感動の余韻に包まれ、未だ泣き止まない私の肩を抱く。
本当に私のことを好きでいてくれるのか半信半疑だったけど、こんなに優しくされると信じてもいいのかなと思い始めていた。
それから私たちはなにも言葉を交わさなかった。
映画の世界からなかなか抜け出せない私を、待っていてくれているかのようだった。
それでも、外が暗くなってくると、私は夕食の支度をするためにキッチンに立った。
「本当に大丈夫なのか? 買ってくるぞ?」
「もう風邪は治りました。今日は和食です」
私がそう言うと、彼は一瞬目を見開いた後、口角をあげ微笑んだ。