クラウディアへようこそ

「あ、ふたにゃんだ」

雪菜はテーブルの間を右往左往していた二葉を目聡く発見すると、おーいと手を振った。

二葉はそれに気がつくと、トレイを持ってこちらにやって来た。

「座っていい?」

律儀に許可を求めるのが、二葉らしかった。

「どうぞ」

私が隣の椅子に座るように勧めると、二葉は疲れた様子で腰掛けた。

「お疲れー、ふたにゃん。今、帰って来たの?」

「そう。ランチ食べたらまた出掛ける予定」

営業の二葉は私と雪菜のような事務担当とは違い外出が多く、ランチタイムに顔を合わせることは非常に稀である。

「よくやるねえー」

「仕事だよ!!」

矢のように鋭い二葉の突っ込みが冴えわたる。ラーメンをすすりながらとはとても思えない。

ちなみに既にランチのほとんどを食べ終わっていた私と雪菜は、お菓子を片手にお供している。

「憧れの団長様とお出掛けだもんねー。それは張り切っちゃうよねー?」

「……やめろ!!」

うししと下世話な笑みを浮かべた雪菜を、顔を真っ赤に染めた二葉が睨む。

「憧れの団長様?」

「あれ?まだ言ってなかったの?ふたにゃんは元近衛騎士団のひとりなんだよねー。あ、ちなみに近衛騎士団っていうのは王族直属のエリート戦士達のことね」

近衛騎士団。

また、クラウディアについて知らないことが増えていく。

近衛騎士団の団長さんともなるとかなり偉い人じゃないのか?

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