クラウディアへようこそ

(確か……二葉と出掛ける予定の人って……)

スケジュールボードに書かれている今日の予定を必死になって思い出すと、該当の人物がひとり浮かび上がった。

「……もしかして、沢渡部長は近衛騎士団の団長なの?」

「そうだよ。あの昼行燈、実はすごい人だったのよー」

私は感心してしまって、へーっと唸ってしまった。

他人は見かけによらないということをこの会社では嫌というほど学んだが、沢渡部長ほど前世とのイメージがかけ離れている人は珍しい。

「ところで……女性なのに騎士団に所属出来るものなの?」

「そ、それは……」

深く考えずに尋ねると、二葉が今度は打って変わって青い顔をし始めた。

「ぷぷっ!!それがね!!おかしいのよ!!」

「やめろ、雪菜!!」

「ふたにゃんはね、元男なんだよ!!」

「……え?」

雪菜は戸惑う私を放り出して目尻に涙を浮かべ、ゲラゲラとお腹を押さえて笑い出した。

「笑うな、雪菜!!」

笑う雪菜と怒る二葉の顔を左右交互に見比べる。

えっと……生まれ変わりってそういうのもありなんですか?

「あーあ。ふたにゃんがちゃんと男の人に生まれ変わってたら、私達今すぐ結婚できるのにねー」

「……お前と結婚するくらいなら独身で通す」

すっかり機嫌を損ねてしまったのか、二葉はぷいっとそっぽを向いてしまった。

……前世の記憶があろうがなかろうが、それぞれ悩みが尽きることはないのだった。

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