クラウディアへようこそ

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コンビニに寄ってくるという雪菜と二葉と別れ、営業部フロアに戻ってくる同時に電話が鳴った。

昼休みの電話当番は席を外しているのか誰も受話器を取る様子がないので、仕方なく代わりに応対する。

「営業部です」

“俺だ”

「……!!」

威圧感がある“俺だ”の声を聞いて、つい反射的に受話器を置いて電話を切ってしまう。

(び、びっくりした……)

偉そうな声の持ち主が一色社長であることは間違いない。

茉莉さんの話では海外出張に出掛けているとのことだったが、いつ戻って来たのだろう。

(電話切っちゃったよ……)

動揺していたとはいえ、非常にまずいことしてしまったと悔やんでももう遅い。

どうにかして一色社長の用件を聞かなければならない。

(うう……。茉莉さんに相談してみようか……)

っていうか、そもそも社長直々に電話って掛けてくるものなのか?

どうするべきか悶々としていると、再び電話が鳴る。

ゴクリと生唾を飲んで、恐る恐る受話器に手を伸ばす。

電話を取るだけでこんなに緊張するのは新人の頃以来である。

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