【完】素直じゃないね。






昼休み。

乃亜と別れ、弁当を持ってきていないあたしは、パンを買うため購買に向かう。


廊下を歩いていると、前方に教室から出てくる集団が見えた。


……悠月だ。


悠月と一緒に歩いているのは、今朝カラオケに行こうと悠月を誘っていた女子達で。


「高嶺くん、歌うまそうっ!」


「あんまカラオケ行かねぇかも」


飛び交う会話がこちらにまで聞こえてくる。


その光景を目の当たりにすると、廊下のど真ん中で思わず足がすくんで立ち止まる。


だけどなにもせずにいると、悠月はこちらに気づくことなく歩いて行ってしまう。


ズキズキと胸が痛むのは、悠月のことを好きな証拠だ。


せっかく想いが通じ合ったのに、これでいいの?

……ううん、ちっともよくない。


ちゃんと伝えなきゃ、あたしの気持ち。


──だって、あたしは悠月の彼女だから。


ぐっと拳を握りしめたあたしは、顔を上げるとリノリウムの床を蹴っていた。

< 400 / 409 >

この作品をシェア

pagetop