【完】素直じゃないね。
昼休み。
乃亜と別れ、弁当を持ってきていないあたしは、パンを買うため購買に向かう。
廊下を歩いていると、前方に教室から出てくる集団が見えた。
……悠月だ。
悠月と一緒に歩いているのは、今朝カラオケに行こうと悠月を誘っていた女子達で。
「高嶺くん、歌うまそうっ!」
「あんまカラオケ行かねぇかも」
飛び交う会話がこちらにまで聞こえてくる。
その光景を目の当たりにすると、廊下のど真ん中で思わず足がすくんで立ち止まる。
だけどなにもせずにいると、悠月はこちらに気づくことなく歩いて行ってしまう。
ズキズキと胸が痛むのは、悠月のことを好きな証拠だ。
せっかく想いが通じ合ったのに、これでいいの?
……ううん、ちっともよくない。
ちゃんと伝えなきゃ、あたしの気持ち。
──だって、あたしは悠月の彼女だから。
ぐっと拳を握りしめたあたしは、顔を上げるとリノリウムの床を蹴っていた。