Amour éternel à vous
「へー、萌ちゃん。彼氏できたことないんだ」
「・・・やっぱり、変ですかね・・?高校生にもなって彼氏ができたことないって・・・」
「そんな事ないと思うけど?萌ちゃん、今1年生だっけ?」
「はい」
「なら問題ないでしょ。俺の同級生でもそういう奴たくさんいるし。それにさ・・・俺にとっては好都合って感じかな」
「・・・好都合?」
「いや、何でもない。さてと・・・そろそろ行こうか」
「行くってどこへ・・?」
「着いてからのお楽しみ。あ、変なところじゃないから、そこは心配しなくて大丈夫だよ」
そういった悠真さんは私の手を取り歩き始める。
「あの・・・ゆ、悠真さん」
「ん?」
「その、手を離してもらえたら・・・」
「嫌?俺にこうされるの」
「嫌ではないですけど・・」
手から伝わってくる悠真さんの体温に、胸がドキドキとして落ち着かない。
「嫌じゃないなら、手繋いでてよ。この時間、柄の悪い連中も増えてるから何かあっても困るし」
「はい・・・・」
悠真さんに手を引かれて連れてこられたのは、とある駐車場だった。
繋いだ手を離した悠真さんは一台の車の前に立ち、後部座席の扉を開け私に乗るように促した。
「おじゃまします・・・」
運転手の人に声をかけつつ車に乗り込み、悠真さんも私の隣の席に腰を下ろした。
「出してくれ」
悠真さんの一声でゆっくりと車が走り出す。
流れる景色を眺めながら、どこに向かっているのか気になり何度か悠真さんに尋ねてみるものの、『着いてからのお楽しみ』の一点張りで行き先を教えてくれることはなかった。