Amour éternel à vous



「えっ?」


「ずっと悲しそうな顔してたから。そういう顔も嫌いじゃないけど、萌ちゃんは笑ってる方が可愛いと思うよ?」


「えっと・・・」



こういう時はどう返すのが正解なんだろう・・・



彼氏がいない歴=年齢の私には、すぐに上手い返しが思い浮かばない。



ここは可愛らしく『ありがとうございます』的なことを言うべきなのかな・・・?


それとも冷めた感じに『誰にでもそういうこと言うんですね』って言う・・?


いや、それじゃ感じ悪いよね・・・


いっその事聞こえなかった振りを・・・



頭の中で必死に返答を考えていると、目の前でプッと悠真さんが吹き出した。



「えっ、何で笑うんですか・・・!?」


「“可愛い”って言われてそこまで真剣に悩む子初めてみたなって思ってさ。彼氏に言われたりしないの?」


「・・・彼氏なんて出来た事ないです・・・」



作ろうと思ったこともないし、そもそも“好き”という感情自体が良く分からない。


中学生くらいから周りの友人達が所謂恋バナというものをし始めたけど、私だけが会話に入れなかった。


どうしてあそこまで“好き”って感情について語れるんだろうといつも不思議に思っていた。


あんな感情ただの幻想に過ぎなくて、いつかは消えてなくなってしまうものなのに・・・



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