Amour éternel à vous


「・・・ここが危ない場所だってことは分かってます。だけど、今日は家に帰りたくなくて・・・」


「親とケンカでもした?」


「ケンカはしてないです、でも・・・どうしても家に帰りたくない・・」



今日会ったばかりの奴にこんな事言われて、きっと彼は困ってる。


それは分かっているけど、これだけは譲れない。


今帰って両親にどう接すればいいのか分からないから・・・



しばしの沈黙の後、彼がおもむろに口を開く。



「ねえ、お腹空かない?」


「・・え?」


「俺まだメシ食ってなくてさ~、キミは?もう食べた?」


「あ、いえ、まだです・・・」



先ほどの会話などなかったかのように話し始める彼に戸惑ってしまう。



「なら一緒にどっか食べに行こう?家、帰りたくないんでしょ?」


「あっ」



そっか、帰りたくないって言ったから・・・


一人で居るのは危ないけど、彼が一緒に居てくれたら危険なことはないだろう。



「何か食べたいものある?なかったら俺のオススメの店連れてってあげる」


食べたいものか・・・・ん、ちょっと待って・・・


私、お財布持ってきたっけ・・・?


学校帰りに衝動的に出てきてしまったから恰好は制服だし、おまけにお財布の入っているカバンを家に置きっぱなしにしてきてしまったことに今更ながら気がつく。


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