政略結婚ですが愛されています
ドキドキしながら何度も視線を向ける私に、神田課長はふっと笑い唇を私の耳元に寄せた。
「俺の腕にすっぽりおさまる小笹は、本当のお姫様みたいだな」
その低い声に、私の体は震えた。
「お、お姫様なんて……そんなこと、ないです……」
ゆっくり歩く神田課長の腕の中、瞬きを繰り返す。
心臓がばくばくと暴れるのを感じた。
照れている顔を見られたくなくて、目の前にある胸に顔を押しつけた。
すると、いったん歩みを止めた神田課長が私の顔を覗き込み、のどの奥で笑った。
「……こうしてお姫様に甘えられるのも、悪くないな」
優しくつぶやいた神田課長の声が、私の胸を震わせる。
そして生まれて初めて感じる想いが溢れ出した。
そう、私はこの時、恋に落ちた。
初恋だった——。


