呼吸(いき)するように愛してる
匠くんが、私の顔を覗き込むように言ってくれたが、私はお姉ちゃんから目が離せなかった。

「たっくん兄たん?」

また、小首を傾げてお姉ちゃんが言った。

「っ!たっ、たくみくん!たくみくんだもん……」

慌てて呼び方を変えた後、私は匠くんの膝の上から立ち上がって、振り向いた。足を伸ばして床に座っている匠くんと、顔の高さが近くなる。

「美羽…」「たくみくんっ!」

匠くんが何か言いかけたけど、かぶせて匠くんの名前を読んだ。

「美羽、たくみくんがだいすき!ずっといっしょにいたいの…美羽と、けっこんしてくださいっ!!」

眉尻を下げた匠くんを見つめながら、一生懸命言葉を吐き出した。匠くんのきれいな瞳には、グッ!と唇を噛みしめた私が写っている。

こんな顔をして、匠くんを見ているの……?

私は、匠くんの答えがわかってしまった……だって匠くんは、私が嫌がる事はしない。私が悲しむような事も、絶対にしない!

匠くんは、優しい。私の事を大切にしてくれる。私が匠くんにとって、“妹”みたいなものだから……

「僕も美羽の事、大好きだよ!……美羽が大きくなったら、結婚しようね」

微笑んで、私を見つめながらそう言ってくれた。

匠くんの瞳に、フニャッ…と笑った私が写る。

その時、少し前に見たテレビを思い出した。真っ白なウエディングドレスを着た花嫁さんが、花婿さんと誓いのキスをしていた……

花嫁さん、すごくきれいで幸せそうだった。

私は、真っ白なウエディングドレスは着ていないけれど……

両手で匠くんのスベスベの頬を挟んだ。匠くんの顔に、自分の顔を近付ける。匠くんのきれいな顔を、ずっと見ていたいと思っていたのに、恥ずかしくなって直前でギュッ!と目を瞑った。

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