呼吸(いき)するように愛してる
──そして、あの日。

お姉ちゃんが「また、美音ちゃん大好き!て言われちゃった!」て言い出した。

可愛いお姉ちゃんはモテていた。小学生男子には、お姉ちゃんが隠しているちょっと…かなり『女王様なところ』は、見破れないらしい。

「お姉ちゃんは、だれがいちばんすき?」

いつも通り匠くんの膝の上に座りながら、お姉ちゃんに訊いた。

お姉ちゃんは、フフン…と鼻で笑った。

「そんなの、すぐに決めないから!また、誰かに告白されるかもしれないし!」

「ふ~ん……美羽がだいすきなのは、たっくん兄たん!ず~っといっしょにいるの!」

匠くんを見上げながら言ったら、匠くんもニッコリ笑ってくれた。

たっくん兄たん、カッコいい~!!

私の大好きな優しい笑顔に、私の両目はハート型になった。

「美羽にとって、匠くんは『お兄ちゃん』だよね?」

お姉ちゃんが、小首を傾げて言った。私は、何となくわかってた。お姉ちゃんが、こんな風にかわいく首を傾げる時は、意地悪を言う時だって……

「…そう、だよ……」

「『お兄ちゃん』とは、ずっと一緒にいられないんだよ。一緒にいられるのは、匠くんの『特別な子』。匠くんと結婚した女の子だけ!」

「っっ!!」

お姉ちゃんの言葉に、私は顔を歪めた。『お兄ちゃん』とは、ずっと一緒にいられないの……?

「美音!どうしてそんな意地悪を言う?」

匠くんがお姉ちゃんに優しく注意する。『お兄ちゃん』と私が思っているだけで、私と匠くんは、本当の兄妹じゃないんだから。

そういう事、まだ小さかった私はわからなかったけど、ちゃんとわかってるお姉ちゃんが私に言うのはただの意地悪だ。

匠くんの注意を無視して、可愛く微笑みながらお姉ちゃんは、私をじっと見つめる。

「ちがうもん!たっくん兄たんは、お兄ちゃんじゃないもんっ!」

私はお姉ちゃんを見返しながら、必死に言った。

「美羽!美音の言ってる事は、気にしなくていいから」

< 9 / 279 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop