呼吸(いき)するように愛してる
私が動かないから、みちるちゃん達がベンチの傍まで来てくれた。

「何を話した!?」

相変わらず、不機嫌なヒロくん。

「えっと……それは……」

思わず口ごもり、また、顔に熱を持つ。

「何か顔、赤くなってるし!」

吐き捨てるようなヒロくんの言葉。怖いよ!ヒロくん……

「あいつ、公園を出る時、みちると俺に『待たせて悪かった』て。何を話したか知りたかったら、『美羽ちゃん』に聞けって!何で急に『美羽ちゃん』になってんだよ!!」

ヒロくんの剣幕に、私は何も言えない。ヒロくん、何で怒ってるの……?

「ヒロくん、そういう言い方やめて。美羽、とりあえず行こうか」

みちるちゃんの言葉にホッとして、ようやくベンチから立ち上がる事ができた。


あの後、何度もヒロくんに詰め寄られたけど、もう少し自分の中で整理がついてから、話す事にさせてもらった。

みちるちゃんが、それでいいと言ってくれたから、最終的にはヒロくんも諦めたんだけど。

どこか、フワフワと浮いている感じ。どうしても、現実感がない。……イカンイカン!しっかり、考えなきゃ。

あの時は、気が付いたら「はい。私も安西先輩の事……」なんて言ってたから。

その時ふいに、ヒロくんの言葉が頭の中で響いた。

『匠くん以外の誰かを好きになる』

……安西先輩、なのかな……?安西先輩なら、すぐには無理でも、匠くんよりもっと好きになる事ができるのだろうか?

安西先輩に微笑まれると、ドキッする。後ろ姿を見送ると、目が離せなくなる。

今まで、こんな事なかった。匠くん以外の誰かに、ドキドキするなんて……

……て、自分の気持ちばかりを考えているけど、私じゃ安西先輩に釣り合わないよね。

「俺の事もっと知ってほしい」と言ってくれた安西先輩。私の事も、もっと知ってほしい。

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