呼吸(いき)するように愛してる
図書室で安西先輩と過ごす時間は、とても穏やかで。……でも今、安西先輩から感じるのは、真夏の太陽にも負けない“熱”で……

私は、その熱に逆上せてしまったのだろうか……?

「はい。私も安西先輩の事、もっと知りたいです」

気が付けば、そんな事を口走っていた……

「マジ!?…すげえ、嬉しい!!」

それまで聞いた事のない、安西先輩の砕けた言葉と、弾けるような笑顔に、思わずキュン!としてしまう。

「じゃあ、これ。手、出して」

私が、そっと右手を安西先輩に差し出すと、掌に小さなメモが乗せられた。

「?」安西先輩を見れば、いつもの優しい笑顔。

「俺の連絡先が、書いてあるから。そこに、連絡くれる?」

私は、小さく頷いた。

「慌てなくても、いいから。よく考えて、連絡して」

安西先輩は、本当に優しい。私に、まだ考える猶予を与えてくれるんだ。

私は、もう一度頷いて、そのメモを制服の胸ポケットに入れた。

「あっ!これは、ぜひ聞いてほしい。朝倉さんの事、名前で呼んでもいいかな?」

あっ……何か照れるけど……私は、やっぱり頷いた。

「今日は、ありがとう!じゃあ、お先に」

安西先輩がベンチから立ち上がって、公園の出入口に歩いていく。

私は、ドキドキしながら安西先輩の後ろ姿を見送る。

少し歩いた所で、安西先輩が振り返った。

「またね!美羽ちゃん!」

ボッ!と顔が熱くなる。振り返って手を振る安西先輩に、私も小さく手を振った。

みちるちゃん達に何か声をかけて、安西先輩は公園から立ち去った。

私は、ベンチから動けなかった。さっきのわずかな時間に起こった事が、夢の中の出来事のようで、いまいち現実感が乏しい。

それでも……制服の胸ポケットを探れば、指先に紙の感触。そうか、夢じゃないんだ……

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