呼吸(いき)するように愛してる
みちるちゃんの言葉に、私はゴクリと唾を飲み込んだ。

「安西先輩、背、高いよね。一八〇センチ以上は、確実。生徒会長で、バスケ部のキャプテンだった。……同じスポーツをしてると、筋肉のつき方とか一緒なのかな?」

「みちるちゃん?」

「……私が匠くんに最後に会ったのは、匠くんが高校生の時。はっきりとは覚えていないけど……美羽。安西先輩に、匠くんを重ねてない?」

えっ!?……

みちるちゃんの言葉を聞きながら、匠くんを思い出す。

匠くんが高校生の時。お話できる時間は、ずいぶんと少なくなって。学ラン姿の匠くんの後ろ姿を、見送る事も多かった。

安西先輩と図書室で会った後。安西先輩の後ろ姿を見送るのが好きだった。ドキドキしていた。

安西先輩の後ろ姿に、匠くんの後ろ姿が……ゆっくりと、重なった……

「っっ!!……」

目を見開いたまま、私の時間が止まった……

嘘っ!……私、安西先輩を、安西先輩だけを、見ていなかった……?

図書室で、安西先輩と一緒に過ごした時間を、思い出す。

初めて図書室で会った時、頭をクシャッとされた。その手が優しくて。ヒロくんにも、よく頭を撫でられるけど、グイッ!と手の力が強くて。

ヒロくんと違う、その手の優しさに、あっ!まるで…まるで、匠くんみたいだと、思った。

安西先輩の後ろ姿にドキドキしていた時も、なぜか懐かしい感じもしていて……

匠くんを、思い出していたんだ……

微笑みながら私の話を聞いてくれる所とか、ちゃんと自分の思った事を伝えてくれる所とか……思い出せば、あれも、これも、それも!安西先輩に惹かれた所は、全部……

私の中の匠くんへと、繋がっていく……

見開いたままの瞳から、次々と涙が流れていく。

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