呼吸(いき)するように愛してる
どうして私は!これだけ、長く長く想い続けている匠くんが、自分の中に、こんなにも隙間なく存在していると、気付く事ができなかったの?

匠くんへの恋慕の想いを、勝手に安西先輩に重ねて、それにさえ、気付いていなかったなんて……!

「……あ、あ……わた…し……」

絞りだそうとした想いも、ちゃんと言葉にならなくて……ただ、涙を流す事しかできない……

斜め前に座っていたみちるちゃんが、私の隣に来て膝をつき、ギュッ!と強く強く抱きしめてくれた。

「美羽は今まで、匠くんだけを見てきた。美羽が恋慕う気持ちは、全部匠くんに向いていた。…だから、わからなかったんだね。美羽が誰かを想うと、結局それは、匠くんへの想いに繋がってしまうって」

静かだけど、強く紡がれたみちるちゃんの言葉は、混乱している私にもちゃんと届いた。

「みちるちゃん……」

「大丈夫!美羽は、ちゃんと気付いたんだから。大丈夫!」

私を抱きしめながら、何度も「大丈夫!」と言ってくれるみちるちゃん。

何が、どう大丈夫なのか……みちるちゃんらしくない、何の根拠もない言葉だけど。

私は、みちるちゃんの私より小さな身体と、その根拠のない言葉にすがった……

しばらくそうして泣き続けて、ようやく涙が止まった。もしかしたら、小休止かもしれないけど。

みちるちゃんが、氷や保冷剤を持ってきてくれたので、それで瞼を冷やす。

あぁ……最近、みちるちゃんの前で泣きっぱなしだし、こういう事も、よくやってるよな……

小さい頃の私は泣き虫で。それが悔しくて、よく泣くのを我慢していた。

大きくなったら、こんな涙は簡単に我慢できるようになる!そう思っていたけど……

大きくなったらなったで、それまで知らなかったどうしようもない感情を知る事となり……さらに泣き虫の私が、いたりする。

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