呼吸(いき)するように愛してる
「無表情だから、何にも感じてないようにも見られるし……私なりに、いろいろ感じたり、考えたりしているんだけど」

珍しくみちるちゃんが、自嘲気味に笑った。

「わかってるよ!みちるちゃんは、誰よりも周りの事見てて、困っている人に、いつも一番いい方法で手助けしてあげる!それだけ、その人の気持ちになって、考えてあげてるって事だもん!」

みちるちゃんの表情が悲しくて、一気に言い切った。

みちるちゃんは、目を丸くして私の言葉を聞いていたが、ニコッと目元と口元が、大きく動いた。

「うん。美羽は、ちゃんとわかってくれてるもんね」

私も、みちるちゃんにつられて笑った。

「うん!……あっ!でも、みちるちゃんの考えている事は、私には難しかったり、深すぎて、何を考えているかは、よくわかっていない時も、あるけど……」

せっかくお褒めの言葉をいただいたのに……デヘヘとごまかし笑いをする。

「『何を考えているかわからない』は、私が感じたり、考えているって事、前提でしょ?『何も感じていない』とは、全然違う」

「うん……」

「美羽の表情が変わるたび、私の心も揺さぶられる。いい刺激を受ける。ここで、笑っていいんだ、怒っていいんだ、泣いていいんだって、自分の感情に自信がもてる」

「みちるちゃん……」

「私も、美羽からたくさんのもの、受け取ってるよ」

斜め前に座っているみちるちゃんに、にじり寄りギュッ!と抱きしめた。

みちるちゃん家で夕食をいただき、みちるちゃんのお母さん達に挨拶をして、自宅へ帰った。

帰るとすぐに、お風呂に入る。一日の汗を流すと、身体も心もスッキリする。

念の為、いくつか保冷剤を準備してベッドに横になった。

どうすべきかは、わかっているつもり。でも、どう安西先輩に話すかは、まだ考えられる程、落ち着いていなかった。

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