呼吸(いき)するように愛してる
ちゃんと、一人で考えよう……

自分が思っていたより、涙は出なかった。

みちるちゃん家でいただいたご飯と、みちるちゃんの言葉が、私に、最後まで考えられるだけのパワーをくれた。

私は、安西先輩にちゃんと話すまで泣かない!

そう心に決めて目を閉じたら、前日の寝不足も手伝って、あっという間に深い眠りに落ちた。


翌朝、いつも通りの時間に目が覚める。頭も身体もスッキリしている。

うん、大丈夫!一日、がんばれる!

すぐに安西先輩にメッセージを送る。今日の放課後、会って話がしたいと。

安西先輩から『OK』のメッセージが届く。時間や場所は、また後で連絡すると。

今度の学園祭が、安西先輩の生徒会長としての最後の大きな仕事だ。忙しいのに、ごめんなさい。

お詫びとお礼のメッセージを送って、朝の準備を始めた。


放課後、私は生徒会室に向かっていた。そこで、安西先輩が待っている。

一日の授業が終わり、クラスで学園祭の話し合いがあった。安西先輩も、生徒会の方での話し合いがあるそうで。その後に、会う事になった。

みちるちゃんに、その事を報告していたら、最後に言われた。

ヒロくんには、みちるちゃんが話しておくから、私は安西先輩の事に集中しろと。

正直、助かった。最近、たまによくわからない言動をするヒロくんに、どう話そうか迷っていた。さすが、みちるちゃん!

悩み事が一つ減り、少しだけ心が軽くなる。

生徒会室に急ぎながら、私は心を落ち着けようとしていた。

コンコン!と扉をノックすると「はい!どうぞ!」と、明るい安西先輩の返事が聞こえた。

その声に、ツキン…と胸が痛む。

生徒会室に入ると、安西先輩は窓際に立っていた。傾きかけた陽を受けて。

うん、やっぱりカッコいい!……でも、不思議とドキドキはしない。

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