呼吸(いき)するように愛してる
「忙しいのに、急にすみません!」

頭を軽く下げながら、安西先輩に近付く。

「こっちこそ、ごめん!ここまで来てもらって」

微笑む安西先輩と、二メートルくらい離れて、立ち止まった。微妙な距離に「ん?」と安西先輩は、小首を傾げた。

「安西先輩、ごめんなさい!!私、安西先輩とはお付き合いできません!」

身体を半分に折って頭を下げた。

「ちょっ、ちょっと待ってよ、美羽ちゃん!昨日の今日で、どうしたの?」

安西先輩の声が、戸惑っているのを感じる。そりゃ、そうだよね……

ギュッ!と両手を握ると、ゆっくりと顔を上げた。

眉尻を下げて笑っている安西先輩の瞳を、真っ直ぐに見つめる。

「これから私が話す事は、安西先輩にすごく失礼な事です。腹が立ったりもすると思うけど、最後まで聞いてください。よろしくお願いします!」

そう言ってまた、深く頭を下げた。

「何か、美羽ちゃんらしくなくて、ちょっと怖いな!」

安西先輩は冗談めかして言ったけど、私はずっと安西先輩を真っ直ぐに見つめたままだった。

「……わかった。どうぞ……」

安西先輩の表情が真剣なものになった。

私は目を閉じてフッ…と息を吐いた後、再び安西先輩を見つめ話し始めた。

「私には、ずっとずっと、大好きな人がいます。その人は大人で、すてきな彼女もいます。…だから、私の想いは届きません。ずっとずっと片想いです」

安西先輩は表情を変えずに、静かに私を見つめている。さすが、安西先輩。

いろいろ考え、悩んだけど……

私は匠くんの事を、安西先輩に正直に話す事にした。“真実(ほんとう)の想い”を話さないと、安西先輩にきちんと伝えられないと思ったから。

私の好きな“年の離れたお隣の幼なじみ”には、ここ数年、全然会えていない事。

ヒロくんに、「違う誰かを好きになってみれば」と言われ、その言葉がずっと頭に残っていて、そんな時、安西先輩に告白された事。

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