呼吸(いき)するように愛してる
そう言いながら知花さんは、私の頬を人差し指で、ツンツンとつついた。

「えっ!?可愛いのは、知花さんですよ!」

「そうね~、私はかなり、作り込んでるけどね!」

ニコニコしながら、知花さんは言った。

作り込んでる?さっきから知花さんの言葉が、私にはイマイチ理解できない。

「美羽ちゃん、素で可愛いのに。今まで、どんな人となら付き合えたの?」

再び、知花さんに小首を傾げて訊かれる。

やっぱり、可愛い……!

知花さんの、女の子らしい柔らかい雰囲気と、ズバッ!と無駄のない喋りに、単純な私は、ついついのせられて言わなくていい事まで、話してしまうのだ。

「どんな人と言われても……私、まだ誰とも、お付き合いをした事がないので……」

「えっ!?マジッ!?……ていう事は、美羽ちゃんって、もしかして、まだ処女……」

目を丸くして、びっくり顔の知花さんも可愛いけど、その可愛さには似つかわしくない、くだけた言葉使いと単語に、私は慌てて、知花さんの口を片手で塞いだ。

「ちっ、知花さんっ!!いっ、いくら二人きりでも、そんな大きな声で言わないでください!」

私は周囲をキョロキョロしながら、知花さんの口を塞いだまま言った。

知花さんは私を見ながら、コクコクと頷いた。

小さく息を吐き、そっと知花さんの口から手を外した。

「ごめんね、美羽ちゃん!ちょっとびっくりしすぎて…デリカシーなかったね」

「いえ……私も、急に乱暴な事してすみませんでした!」

お互いに、小さく頭を下げた。

それからも知花さんにいろいろ訊かれて、私もバカ正直に答えてしまっていた。

「ふ~ん……だいたい、わかった」

時折知花さんの恋バナも聞きながら、ずいぶんといろんな事を話してしまった気がする。

はっきり言って、仕事の事は忘れてました。ごめんなさい!

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