呼吸(いき)するように愛してる
それにしても知花さんは、いったい何がわかったのだろう?

「『男子が苦手!』とか言いながら、美羽ちゃんって、すごく無防備に見える。今まで、守られてきたんだね!」

「へっ!?」

「無防備」とか「守られてきた」とか、ますます意味がわからない。

私のどこが無防備?何に守られてきたの?

「知花さん、あの……」

「ごめんね!喋りすぎちゃったね。さっ、仕事仕事!」

知花さんがそう言ってニッコリ笑ったら、タイミングよく、二人のデスクの間にある電話が鳴った。

「お電話ありがとうございます。フジノでございます」

お仕事仕様に切り替わった知花さんに、それ以上何も聞けず、私も、自分のデスクのパソコンに向き直った。



*****



フジノで働き始めて、一週間程が過ぎた。

今日は午前中に、フジノのメインバンクである四つ葉銀行の営業の人が、事務所にくる予定だった。

月に一~二度、隣の社長の自宅に訪問するそうで、その帰りに、事務所の方にも寄ってくれるそうだ。

普段は、必要な時に銀行の窓口に行く。

フジノでの私の担当は、経理・総務的な事で、銀行への様々な手続きをするのも私の仕事だ。

挨拶と、給与振込の口座を作る為の用紙をもらう事になっている。

知花さんからその話をされた時、私の通帳は匠くんに作ってもらいたい!と思った。

そんな事、言えるはずないけど。

『匠くんのお世話係』としての仕事は、始まったばかりで、まだまだ探りながらだ。

・夕食がいらない時には連絡する
・帰宅する前に連絡する
・美羽は栗原家に食事を運んだら、匠の帰宅を待たずに帰る事

二人で話して、とりあえず、こんなルールを決めてみた。

三つ目のルールは、守っていないし、守るつもりもないけど。

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