呼吸(いき)するように愛してる
「私は全部、わかってるけど」と言っているような、穏やかなきれいな微笑みを浮かべて、そう締め括る知花さん。

気になりますって!その“サトリ”、私にもきちんとお教えくださいっ!

子どもの頃から、よくお姉ちゃんに言われた。「お子ちゃまの美羽には、わからないでしょ」というセリフ。

察しが悪い私は、中学・高校でも女の子同士の会話に、よくおいてけぼりにされた。

「そこまで言う!?」と思う程、あからさまに話す時もあれば、一番肝心な事をはっきり言わないまま、話が進んでいく時もある。

キョトンとしていると「美羽はわかってないよね~」的な事を言われるけど、教えてもらえる訳じゃない。

だから男子だけでなく、群れた女子にも苦手意識がある。

その点みちるちゃんは、口数は少ないけど、必要な事をわかりやすく伝えてくれるから、一緒にいても安心できる。

ジトッとした目で知花さんを見れば、フフと笑った後、知花さんが口を開いた。

「美羽ちゃん、須賀さんの事、どう思った?」

「えっ!?……優しそうで、誠実そうな方だと思いました」

「それだけ?」

「?」

これからいろいろお世話になる銀行の方に、悪い印象をもたなかった。今日は、それだけで充分だと思うんだけど。

何か気付かなきゃいけない事でも、あった?

私が必死で考えていると、「可愛い」と言いながら知花さんが私の頬をツンツンした。

「須賀さんに会うと、たいていの女の子が、目がハートマークになっちゃうの。その点、イケメン慣れしている美羽ちゃんは、最初から最後まで落ち着いて話していたでしょ?」

「あ~……」

知花さんの言葉の意味が、ようやく理解できた。

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