呼吸(いき)するように愛してる
さっき知花さんが言った事は、きっと匠くんにも当てはまると思う。

いろんな制服姿の、きれいなお姉さん達に囲まれた匠くんを思わず想像して、ブンブンと頭を振った。



翌日、銀行の支店の窓口で、私の新規通帳発行の手続きをした。

会社の通帳記入なども行う。

お昼前に行ったせいか、須賀さんは、営業から帰っていた。

須賀さんはわざわざ、私のすぐ傍まで出てきて挨拶してくれた。

待ち合いの椅子の一番端に腰かけていた私の斜め前に、膝を折ってしゃがみ、少しだけ話をした。

座っている私を、見下ろすような格好はよくないという須賀さんの配慮かもしれないが……

須賀さんの容姿も相まってか、まるで王子様が跪くような格好になってしまっている。

カウンターの向こう側の銀行の職員さん、こちら側の待ち合いにいる人達……

そこかしこから、チラチラとこちらを見る視線(主に女子)が気になって、落ち着かなかった。

その視線に気付いているのかどうか、須賀さんはずっと、爽やかな笑顔を浮かべていた。

昨日知花さんに聞いた事を、身をもって実感する事になってしまった。



*****



その日は珍しく、残業をして帰った。

夕食の調理の手伝いが、少ししかできなかった。お姉ちゃん以外の家族と、夕食をとる。

それから、いつもは夕食の調理中にする、匠くんの明日の朝食の準備をして、お風呂に入った。

普段よりも遅い入浴時間になったけど、匠くんが帰ってくるのは、だいたい九時前。

匠くんが帰宅するまでには、まだまだ時間があると思って、いつも通りに入浴した。

お風呂から上がって、スマホをチェックすると『今から帰る』という匠くんからのメッセージが入っていた。

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