呼吸(いき)するように愛してる
ゲッ!!メッセージが届いてから、もう十分以上経っている。

私は慌てて、身体をバスタオルで拭き、服を着る。

いつもはもちろんドライヤーで乾かす髪の毛も、ざっと拭いただけで、キッチンへ急いだ。

こんな日に限って、匠くんの帰宅時間が早いなんて!お風呂、後にすればよかった……なんて後悔しても、もう遅い。

キッチンで、匠くんの食事を運ぶ準備をしていれば、「匠くん、帰って来てるみたいよ~」なんてお母さんに言われた。

灯りのついている栗原家の玄関に駆け込めば、二階から、もうすでに着替えを済ませた匠くんが降りてきた。

ヤバッ!!……

余裕のない姿を見せれば、『匠くんお世話係』をやめさせられるかもしれない。

そう思っていた私は、ものすごく焦っていた。

「匠くん、お帰り!お疲れ様!すぐに夕食の準備できるから、待っててね!」

ニコッと笑って言うと、匠くんの言葉も聞かず、さりげなくキッチンへ早足で向かう。

味噌汁の入った小鍋を温めたり、おかずをレンジに入れていると、匠くんもキッチンにやって来た。

「美羽、そんなに慌てなくても……」

私のすぐ傍まで来た匠くんが、不自然に言葉を止めた。

私のサイドの髪を、一房手に取る。

「美羽、まだ髪の毛が濡れてる」

咎めるような匠くんの言葉に、慌てて返した。

「もう、寒い時じゃないし……しっかり拭いてきたから、大丈夫!」

眉尻を下げながら、そう匠くんに言った。

「ダメだ!ちゃんと乾かさないと、カゼをひくだろ?」

今度は、諭すように言われる。

「…じゃあ、匠くんの食事の準備が終わってから……」

「ダメだ!!」

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