呼吸(いき)するように愛してる
私が言い終わらないうちに被された、匠くんの強くて短い言葉に、思わずシュン…と俯いてしまう。

匠くんは、味噌汁を温めていたガスの火を止めた。

「美羽は、どうしてそんなに焦ってる?おかずも俺も、逃げないだろ?……これから、美羽に何か予定がある?」

優しい声で問われて、私はフルフルと首を振った。

「予定なんて、ないよ!……私が余裕ない所を見せると、匠くんの食事の準備を、やめる事になるかもしれないって焦っちゃって……」

顔を上げて、ウルウルとした瞳で匠くんを見つめ、訴える。

「ほとんど定時で終るのに、今日はたまたま残業して、帰りが遅くなっただけだから!無理してないよ!だから、これからも続けさせてねっ!」

穏やかに笑った匠くんは、私の頭を優しく撫でた。

あっ……匠くんに頭を撫でられたの、久しぶり……

「いい大人が、誰かに食事の世話をしてもらうなんて…て思ってた。それも、小さい時からあんなに面倒を見てた美羽に、食事の世話をされるとは!」

「その節は、大変面倒をおかけしました~!」

唇を少し尖らして、匠くんを上目遣いで見ながら言った。

匠くんは、クスッと笑って続けた。

「でも、苑子さんと美羽の作ってくれるご飯は、やっぱりおいしくて。就職してから食べなくなっていた朝ご飯も、食べるようになると、朝一から仕事に集中できる気がするし。……食事って、本当に大事だと思った。美羽、いつもありがとう!これからも、よろしく!」

「はいっ!!」

匠くんの言葉が嬉しくて、それまでと違う気持ちで瞳がウルウルしてきたけど。

グッ!と目の奥に力を入れて、大きく頷きながらニッコリと笑った。

「という事で!」

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