呼吸(いき)するように愛してる
できるだけ冷静を装って、匠くんをジッと見た。

「……合コンがきっかけで、付き合いだしたりもするよな?……そんな相手を探すような所に、…彼氏がいる美羽が行くのは、ダメだろ?」

言葉を選びながら、ゆっくりと話す匠くん。私は、その言葉に驚いた。

「へっ!?……私に、彼氏がいるっ!?」

目を丸くして、匠くんを見る。匠くんは、私の驚きに戸惑っているようだ。

「えっ!?……彼氏、いるよな?」

「匠くん、何か勘違いしてる?私に彼氏なんて、いないよ」

彼氏になってほしい人は、いるけどね。

「えっ!?いや、だって……」

珍しく匠くんが、私への言葉を探しているようだ。

ず~っと大好きな匠くんに、彼氏がいると勘違いされている事が、じわじわとせつなくなってくる。

「ずっとずっと、好きな人はいるけど、私の片想いだし。……匠くんが、どうして勘違いしたのかわからないけど、私は今まで、彼氏がいた事もないし……」

思わず、言わなくていい事まで喋ってしまったかも……でも、溢れてしまう言葉を、止める事ができなかった。

「そうか……」

そう言って、黙りこんでしまった匠くん。匠くんまで、せつなそうに見える。

何かを言いたそうに私を見るが、私と目が合うと、開きかけた口を閉じてしまう。

そんな感じが、しばらく続いた。私も匠くんも、何も言葉が発せられない。

余計な事を言っちゃったから、心配、してるよね……

私はフッ!と短く息を吐いて、この微妙な空気を変えようと思った。

「今日の合コンは、職場の先輩に、人数合わせで頼まれたの。本当は行きたくなかったから、匠くんに拉致られて、助かっちゃった!」

わざとおどけるように言った後、ペロッと舌を出した。

「……“拉致”は、言い過ぎだろ!?」

「絶対、“拉致”だって!あんなに強引なの。お店の人に、通報されてたかもよ?」

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