呼吸(いき)するように愛してる
「…それは、マズいな……」

顎に手を当て、考えこむように匠くんが言った。

匠くんがノッテくれたから、それからは何とか、いつもの空気を取り戻した。



翌日、お詫びのメッセージを知花さんに送った。

『おもしろいものが見られたから、許す!月曜日、詳しく聞くからね!』

なんてメッセージが返ってきて、私は、溜め息をついた。



そして月曜日。

朝から、意味ありげな視線を、知花さんから送られていた。

事務所に二人だけになったとたん、知花さんの質問責めが始まった。

「“たくみくん”って、美羽ちゃんと、どういう関係?」

「ふ~ん、お隣さんなんだ……もしかして、美羽ちゃんの片想いの相手って、匠くん?」

前に、『ずっと片想いをしている相手は、幼なじみだ』と話していたから、勘のいい知花さんは、すぐにそれに気付いた。

「……はい…」

ごまかそうかと思ったが、きっと無理だ。すぐに諦めた私は、知花さんの問いに小さく頷いた。

「やっぱり!…匠くんって『栗原主任』て呼ばれていたけど、カフェ『marron(マロン)』のオーナーの栗原さん?」

知花さんが、匠くん家のカフェにまで気付いたのには、びっくりした。

「今のオーナーの要さんは、年令からいくと匠くんのお兄さんになるんだよね?どうりで、初めて会った気がしなかった訳だ!」

知花さんは、パァッと笑って手を叩いた。

匠くん家のカフェが結構お気に入りで何度も通っていて、要お兄ちゃんの事も、ちゃ~んとチェック済みだと、悪戯っぽく笑った知花さん。

「美羽ちゃんのイケメン慣れは、本物だね~!」

なんて、にこやかに肯定されても、私は苦笑するしかなかった。

金曜日、すっかり雰囲気を壊してしまったうえに、先に帰った事を改めて謝った。

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